CAVE D'OCCI

How to enjoyベーゼンドルファーの音色に癒されて「愛でる会」を発足

欅のガーデンの
小さな音楽ホール

今から30数年前、創業のころです。当時のカーブドッチはワイン製造場と樽蔵と欅の庭だけのこぢんまりとしたワイナリーでした。創業2年目に、その欅の木々の中に小さな音楽ホールを建てることになりました。なぜ、ワイナリーに音楽ホール? それはぶどう畑の中でワインとお食事、そして美しい音色を楽しんでいただくというのが創業からの夢だったからです。

普段はレストランとして活用すれば事業のプラスになるしと、設計士の先生に規模は小さくとも音響の良い建物をお願いしました。今で言うクラファンですが、応援してくださる方々から、合計で8000万円の建設資金を集め、幸い無借金で建てることができたのです。でも、さすがにグランドピアノを買うまでの余裕はありませんでした。



憧れのベーゼンドルファーがやってくる!

レストランも順調に船出し、ヤマハさんからピアノをお借りしながら開催したコンサートの評判も上々。それでも気に入ったピアノを持つ夢を捨てきれずにいました。そして、開業して5年位した頃に思いもよらぬお話をいただきました。当時のベーゼンドルファージャパン社から「2000年ミレニアム記念モデル」をこのホールに買わないかという提案でした。

音楽の都ウィーンの至宝、憧れのベーゼンドルファーのグランドピアノ。熟練の職人たちの丁寧な手作業で作られたその音色は、ウィーンナートーンと呼ばれています。使われる木材は、海抜800メートルのオーストリア・アルプスのある特定の地域で育った木材のみで、6年間の歳月をかけ天然乾燥を経て完成されます。その構造も、響板と同じ板を側面にも使用してピアノ全体で音が鳴るように設計されていて、まるでヴァイオリンのようです。ベーゼンドルファーの特徴である伸びのある豊かな響きはこの構造からきているのではないでしょうか。


ベーゼンドルファー公式WEBサイト「viennese-craftsmanship」



 



 


「2000年ミレニアム記念モデル」は、当時世界で50台のみ製造されるという限定のグランドピアノで、そのうち一台が日本にやって来るとのこと。奥行き2,000mmのこのピアノはカーブドッチホールにピッタリのサイズだというお話でした。しかもマホガニーを取り入れたとても美しいデザインは王侯貴族のピアノのようです。当時にしては法外なお値段でしたが、何と長期ローンが組めるとか。このチャンスを逃したら二度とないと、思わず「買います!」と言ってしまいました。

1998年に完成されたピアノは、はるばるウィーンから海を渡って東京に。ここで日本の風土に慣らすためにしばらく留め置かれ、陸路新潟へ。2000年の夏、やっと待ちわびたベーゼンドルファーが、カーブドッチホールの中央に美しい姿で収まったのです。

運ばれてきたのは、50台のうちの「33番」。日本で一台の貴重なピアノです。(45398-200-10)


 



実はホールにもこだわりが

ピアノを設置しているホールは、ピアノを中心に置いたときに音色が美しく響くように、入口に向かって台形のように広がっています。音が反響しすぎないよう床・壁・屋根とお互い平行な壁を一切避けていて、背面のドームからホール全体に音色が行き渡ります。

200席ほどの小さなホールで聴くベーゼンドルファーの至福のピアニッシモ。体の芯まで染み込むような柔らかな音色は格別です。


 



 



 


木造のホールは四季を通して呼吸をしています。当初はピアノの湿度調整器を置いたのですが、建物とピアノの呼吸が合っているのでしょうか、調律師さん曰く「もう加湿器はなくても大丈夫。ピアノにとても良い環境らしく、段々いい音が出るようになってきましたよ」。25年も経って今が一番とはベーゼンドルファー恐るべしですね。

丸い木の柱は懐かしいかつての電信柱。床には南北戦争時代のジョージア州にあった集会場の古材を日本に運んで張っています。床のところどころに鉄砲の弾の跡が見つかるのも興味深いことです。

ワインの香りが染み込むような木造のホールは風合いがあって、周りの自然ともなじむ空間に仕上がりました。窓枠はまるで額縁。外の風景を絵画のように見せてくれます。


 



 



 


土地に馴染むまで一年をかけて慣らし弾き

新しいピアノはしばらくは音が固くて鳴らないので、できれば毎日慣らし弾きをしてほしいと言われ、募ったところ反響がありました。世界でも台数の少ないベーゼンドルファーを一度は弾いてみたいと、各地からカーブドッチを訪れてくださる方が次から次へと。中にはコンクールのピアノがベーゼンドルファーなのでその前に弾いてみたいと、県外からわざわざ飛行機で訪れた学生さんもいらっしゃいました。

一年かけて延べ200人以上の人の協力で慣らし弾きが終わり、その5か月後には初のコンサートを開催。美しい音色を響かせました。


 



 



「ベーゼンドルファーを愛でる会」を発足
演奏交流会に参加しませんか

ホールに置いてから25年が経ち、この間ずっとお願いしてた調律師さんに「音色が変わってきましたよ。今、とてもピアノの状態がいいです」と何度も言われるようになりました。確かに始めは固く感じられた音色も、年を経るごとにまろやかな円熟味が出てきています。まるでワインと同じですね。

やっと、期が熟したと思いました。25年かけて大切に育てたベーゼンドルファーを、これから活かしていこうと。そこで「ベーゼンドルファーを愛でる会」を発足し、その第一弾として「演奏交流会」を企画しました。


それは、ピアノを習っている、弾いている大人の方に集まっていただき、お互いに大切な曲を発表し合う会です。更にはその演奏を聴く会です。

ウィーンの名器ベーゼンドルファー。その美しい音色をを隅々まで行きわたらせる音響抜群の音楽ホール。この空間で大切な曲を気持ちよく演奏してみませんか。

ランチを含めて3時間ほど。お一人様10分以内が持ち時間です。一曲通して最後まで弾いてください。

またこの会には、聴くだけの方も参加できます。緊張しながらも和やかな雰囲気で進む演奏会を、ランチを楽しみながら、弾いて、聴いて、心地よい時間を体験してみましょう。



 



 



Winery Map

カーブドッチホール